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スペクトルマン総括
日本映画専門チャンネル放映の「スペクトルマン」ようやく全話視聴終了。印象に残ったエピソードの感想などを少々。
※ 1話。当初はゴリが主役扱いだったのでゴリの描写および説明が多いのに対し、スペクトルマンはこの時点ではあくまで「謎の存在」とされている。しかもラストでいきなりレーザーに焼かれ火だるま炎上して墜落! 3話。怪獣ミドロンは着ぐるみではなく立体アニメ。 5話。無理矢理巨大化させられたラーがビルに腰掛けてひたすら愚痴をこぼす。 6話。命令違反したスペクトルマンがネビュラに強制送還させられる。初期はネビュラの命令に理不尽なものが多くスペクトルマンとしばしば対立する。現実世界における上司と部下の関係のカリカチュアライズといってしまえば簡単だが、むしろ「ネビュラといえども絶対の正義ではない」ことを強調していたように思える。あるいは「正義の残酷さ」というべきか。 9話。怪獣ネズバートンに人間が食い殺される描写が強烈極まりない。しかもちぎれた腕を野良犬がくわえてる様はまんま黒澤の『用心棒』。 11、12話。人間から改造された怪獣ダストマン、自らを悲観し切腹自殺を図る!デザイン、エピソード共に全怪獣中1、2を争うインパクト。 15,16話。地震怪獣モグネチュードンによって東京が壊滅してしまう。上半身がモグラで下半身がナマズというデザインもすさまじいが、ラスト、ネビュラが超科学力で時間を巻き戻し、東京を元に戻してしまうという掟破りの解決策。人々から地震があった記憶すら消去されてしまい、そこまでするのはいかがなものかと蒲生が苦言を呈す。しかもナレーターまでもが「これでいいのだろうか」とネビュラ批判。そして蒲生が「地震について」街頭インタビューして回るさまをドキュメンタリータッチで追うという超異色のエンディング。 21,22話。E惑星人、ネビュラ人以外の宇宙人が初めて登場する。全身が巨大な脳というまんまドルゲ魔人のようなズノウ星人、巨大目玉の怪獣ギラギンドとデザインも凶悪。 23,24話。交通事故怪獣という肩書きも素晴らしいクルマニクラス編。信号機目玉も愛らしい。 30、31話。このエピソードに限らず、ゲストキャラには利己的だったり心が弱かったりといった一般市民がよく登場する。普通なら絶対悪であるゴリに対し純粋被害者として描かれるべき人間がかならずしも「良い人」ではないというのがスペクトルマンの特徴のひとつ。 38話。原子燃料強奪のためにロボットに改造されるのはエジプトのスフィンクス。スフィンクスであることにまったく意味が無いのがすさまじい。距離的に考えて奈良の大仏のほうがコスト安と思われる。 44,45話。ゴリがまったく絡まないエピソード。終盤になるとゴリの影がどんどん薄くなっていく。 46,47話。後半に多い「村全体がエイリアンにのっとられる」系の一編。この手の話にありがちなパターン(郷里に戻ったら親戚の様子がおかしい、話が食い違う、とか)をちゃんと踏んでいて結構楽しめる。 48,49話。「アルジャーノンに花束を」の翻案で有名なエピソード。脳を食われ首なし死体と化する被害者など、時代を考えてもよくぞここまで!なグロ描写のオンパレード。 52話。山中で生け捕りにされた怪獣を研究のため東京まで輸送するある種のロードムービー。集まった見物人も一般人で、ドキュメンタリータッチとなっている一方、Gメン隊員が怪獣に飲み込まれるといったウルトラマンタロウ的脱力展開も。 59,60話。馬鹿が戦車でやってくるならぬ、宇宙人が霊柩車でやってくる! 61話。アトラクション用怪獣と本物の怪獣が見た目大して変わらないという自虐ネタ。ゴリとラーの友情の厚さに胸打たれるエピソードでもある。 63話。ラーを倒され万策尽きたゴリは最後まで威厳を保ちつつ自害する。任務を終えネビュラに帰還するスペクトルマン、ここに堂々完結。
by tomezuka
| 2007-07-29 21:57
| 映画徒然草特撮編
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