『ルナシー』★★★★
2005年チェコ、ヤン・シュヴァンクマイエル監督。
日本でも大人気、シュヴァンクマイエルの一番新しい長編。シュヴァンクマイエル meet エドガー・アラン・ポー+マルキ・ド・サド+ドグラマグラ、といったところか。トラウマを抱えた青年が謎の伯爵の館に招き入れられ変態行為の数々を垣間見る。前半はサド&ポー要素てんこ盛り、後半は一転して精神病院を舞台としたミステリー調。
本物の肉片を使ったお得意の立体アニメもふんだんに登場するが、すべて幻想シーン(主人公の混沌心象?)なので、実はアニメ部分をすべて消去してもストーリーは成り立ってしまう。今までの長編ではアニメが必ずストーリーに関わっていたので、今作はある意味「普通の劇映画」にもっとも近い。前半の伯爵の特殊趣味お披露目がやや取って付けた感はあるものの、後半は割りと普通に楽しめる脚本となっているので、シュヴァンクマイエルが苦手という人でも楽しめるかもしれない(ただしグロに耐性ないと無理だけど)。